会社の「万一への備え」というと、経営者が死亡した場合を想定することが多いかもしれません。
しかし、会社経営に影響を与えるのは死亡だけではありません。
病気やケガによって、経営者が長期間働けなくなることも、会社にとって大きな経営リスクのひとつです。
経営者が不在になれば、営業活動や重要な意思決定などに影響が生じ、売上が減少する可能性があります。その一方で、従業員の給与や仕入代金、借入金の返済など、会社から出ていくお金は続きます。
事業を継続していくためには、経営者の死亡だけでなく、「生存しているものの働けない状態」についても考えておくことが重要です。
経営者に万一のことがあった場合に備えて、生命保険などで死亡保障を準備している企業は少なくありません。
一方で、病気やケガによって入院・手術をした後、死亡には至らなくても、長期間仕事に復帰できないケースも考えられます。
たとえば、退院後も自宅で療養しなければならない場合や、介護が必要な状態となった場合などです。
一般的な医療保険では入院や手術などに備えることができ、死亡保険では万一の死亡に備えることができます。
しかし、その間にある「病気やケガで長期間働けない状態」については、現在加入している保険では十分にカバーされていない場合があります。
経営者の保障を考えるときには、「保険に加入しているから大丈夫」と考えるのではなく、どのような状態まで保障されているのかを確認しておくことが大切です。
特に中小企業では、経営者自身が営業や主要顧客との関係づくり、重要な意思決定など、事業の中心的な役割を担っていることがあります。
そのような会社で経営者が長期間働けなくなると、経営者本人の収入だけではなく、会社そのものの売上や資金繰りに影響が及ぶ可能性があります。
経営者自身がトップセールスを担っていたり、主要な取引先との関係を築いていたりする会社では、経営者が不在になることで営業活動が停滞することも考えられます。
また、重要な契約や経営判断が遅れることで、事業活動に影響が生じる可能性もあります。
つまり、経営者の就業不能は、個人の問題だけではなく、会社の売上減少につながる可能性のある経営リスクとして考える必要があります。
一方、経営者が働けなくなり売上が減少したとしても、会社の支払いがすべて止まるわけではありません。
こうした支払いが続くなかで売上が減少すれば、会社の資金繰りが厳しくなる可能性があります。
「社長が働けない期間を、会社がどのくらい耐えられるのか」という視点で考えておくことが重要です。
経営者の就業不能リスクへの備えを考える際には、大きく分けて次の2点を確認してみましょう。
単に「法人で生命保険に加入しているか」ではなく、この2つの視点から現在の保障内容を確認することがポイントです。
まず確認したいのが、現在加入している保険の「保障範囲」です。
経営者が死亡した場合には死亡保険金を活用できる場合があります。また、入院や手術については医療保険などで備えていることもあるでしょう。
では、死亡には至らないものの、病気やケガによって経営者が長期間働けなくなった場合はどうでしょうか。
がんや脳卒中などの病気では、治療後も療養やリハビリが必要となり、すぐに以前と同じように働けない場合も考えられます。
現在加入している保険について、死亡・入院・手術だけでなく、経営者が長期間働けない状態まで保障されているのかを確認してみましょう。
もうひとつ確認したいのが「保障金額」です。
経営者に万一のことがあった場合に必要となる資金は、会社によって異なります。
売上規模や固定費、借入金の状況などを確認せず、一律に「○千万円あれば大丈夫」と考えるのではなく、会社の財務状況を踏まえて必要となる保障額を考えることが重要です。
必要な保障額を検討する方法のひとつとして、会社の貸借対照表(B/S)から借入状況を確認する考え方があります。
借入金には、日々の事業活動を支えるための短期的な借入と、設備投資などを目的とした長期的な借入があります。
それぞれ資金の性格が異なるため、保障額についても分けて考えることができます。
短期借入金は、商品仕入資金や従業員への賞与支払いなど、日常的な事業活動に必要となる運転資金として利用されることがあります。
経営者が働けなくなった場合でも、こうした資金は事業を継続するために必要です。
資料では、短期借入について、借入残高または借入枠をベースに一定の保障額を確保するという考え方が例として紹介されています。
長期借入金は、機械設備の購入や社屋の新設・改築など、設備資金として利用されることがあります。
長期借入金の場合、通常は返済が進むにつれて借入残高が減少していきます。
そのため資料では、借入残高の減少に合わせて必要保障額も逓減させていくという考え方が例として示されています。
※上記は必要保障額を検討する際の考え方の一例です。実際に必要となる保障額は、会社の財務状況や事業内容などによって異なります。
経営者に対する保障を検討するときは、「生命保険に加入しているか」だけで判断するのではなく、現在の保障内容を具体的に確認することが大切です。
特に、以前に法人保険へ加入してから会社の売上や借入金が大きく変わっている場合には、現在の経営状況と保障内容が合っているかを確認しておくことも重要です。
経営者が働けなくなった場合に考えられる事業継続リスクや、運転資金・債務返済を踏まえた必要保障額の考え方をPDF資料でご紹介しています。
「現在の保障範囲で十分なのか」「会社にはどの程度の保障額が必要なのか」を考える際の参考としてご覧ください。
経営者に必要となる保障は、会社の売上規模や借入状況、固定費、事業内容、後継者の有無、現在加入している保険などによって異なります。
大切なのは、新しい保険を追加することを先に考えるのではなく、「どのような状態まで保障されているのか」「現在の会社に必要な保障額になっているのか」を確認することです。
「死亡保障はあるが、就業不能への備えが分からない」「以前加入した法人保険が現在の会社の状況に合っているか確認したい」「借入金を踏まえると、どの程度の保障が必要なのか知りたい」など、経営者の保障や法人保険について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。